紫苑 -SHION-




でも、ここからどうしたらいいの……?




思わず走り出したけど、いざこの場面に直面してみると、足がのりがくっついたみたいに動けない。




結局、私何にもできないの……?



湊君と晴にお願いされたのに……!




ギュッと目を瞑っていると、




「だから何ですか?」



え……。



凛とした声に驚いて、バッと棗ちゃんを見る。




「私は皐月が好きだから、自分の気持ちに真っ直ぐになってるだけです」



凛として、真っ直ぐで、躊躇いのない言葉。




「…っ、そんなのっ、ただの自己満足でしょ!?これ以上皐月君に迷惑かけないでよ!」



「皐月が迷惑だって先輩に言ったんですか?」



「っ、」



「確かに私の自己満足です。皐月に迷惑をかけてるかもしれません。でも、皐月本人から私のことを拒絶する言葉が出ない限り、先輩方に何を言われようが私はこれからも皐月を追いかけます」




棗ちゃん……。




すごい、と思った。かっこよく見えた。


自分の気持ちをどこまでも貫き通す姿に。


そして、想いの強さに。



「っ…生意気な口聞いてんじゃないわよ!」



バッ!と先輩の手が上がった。



「棗ちゃんっ……!」



気づいたら鉛のように重かった足が走り出していた。