紫苑 -SHION-




どうして私、気づかなかったんだろう。



あんなにみんなにヒントをもらっておきながら、何にもわかっていなかった。



みんなはわかってたんだ、こうなるって。


わかってて、私に託してくれてたんだ。



ハアハア、と息が切れる。




色んな空き教室や場所を探しているけれど、棗ちゃんは見つからない。




もしかして、もう教室に帰ってるのかな?



でも、違ったら……。




「棗ちゃん……」


どこにいるの……?





空き教室に入るけど、誰もいなくてここも違うか……とまた走り出す。



そして、トイレの横を通り過ぎようとした時。




「〜〜っ……!」


「〜〜〜!!」




女子トイレから数人の声が聞こえ、足を止める。



もしかして……と恐る恐る踏み出して、中を覗くと、




「あんた目障りなのよ!!」


「皐月君のこと探し回って皐月君もいい迷惑よ!!」




3人の女の人がすごい形相で目の前の女の子を睨む。



指定のリボンじゃないから定かではないけど、たぶん先輩だと思う。




目の前にいる女の子はやっぱり……棗ちゃんだ。



きっと、あの先輩達は皐月が好きで、皐月を追いかける棗ちゃんが邪魔なんだ。



それは、嫉妬の塊。





達己達の言いたかったことを、やっと本当に理解できた気がする。