紫苑 -SHION-





「ほんとだ……」



「つーか、いつもすぐに教室覗きに来んのに今日は来なかったな。だから、今日は来ないと思って皐月も俺らといんだよ」



「じゃあ、棗ちゃんどこに……」



「知らねーな」




達己の言葉に項垂れる。



仕方ない…今日は出直そうかな。


帰ろう、と思っていると。




「紫苑」



「…ん?」



「俺、言ったよな?女の嫉妬っつーのは怖ぇって」



「それがな、に……?」




ちょっと待って。




最近の、棗ちゃんの忘れ物の多さ。


いつも晴達の教室に行くはずなのに、今日だけ来ていないこと。


湊君達の言葉の意味。




「もしかして……」





達己がニッと笑った。



「さすがのお前もやーっとわかったか」



「……私、行かなきゃ!」



3人に背を向けて走り出す。








「お前は行かなくていいのか?皐月」



「……関係ねえよ」



「ふーん。本当に?」



「……」



「……棗なら大丈夫だ」




紫苑がいるから、と晴が紫苑の背中を見つめながらそう思った。