紫苑 -SHION-





ここ最近、紫苑ちゃんの様子がおかしい。



頻繁に私のクラスに来ては、



「忘れ物しちゃった」



なんて笑って、私と湊君に教科書を借りにくる。




最初の方は別に何とも思わなかったんだけど、頻度が多すぎる気がする。





そして今日も。



「紫苑、古典の教科書貸して!」



「うん、いいよ」



「ありがとう!最近忘れ物多くてさあ」



「私は全然いいけど……どうかしたの?」




さすがに毎日何回も来てたら、不思議にもなる。




「何もないよ?」



「……そっか」



でも、ニコッと笑った棗ちゃんにそれ以上は聞けなかった。




「紫苑ちゃん、さっきの授業寝ちゃったからノート見せてほしいんだけど……って、棗…」




湊君が申し訳なさそうに笑いながら私のところに来た時、隣にいた棗ちゃんに気付いた後、手に持っている教科書を見て、また?という顔になった。




「アハハ」



「……アハハじゃないよ。棗、またあの時と……」



「違うから」



「……ふーん」




湊君の言葉を塞いで、私の時と同じ笑顔を向ける棗ちゃん。





「それじゃあ、また後で返しに来るから」



そう言って、出て行った棗ちゃんを見た後、湊君がさっき言っていたノートを渡す。