紫苑 -SHION-





バタン、と閉まったドアの音が響く。



「……」



最近、一つだけ皐月のことでわかったことがある。



皐月は夕方の5時30分には必ず帰るということ。



何故かはわからないけど……。





「あいつ、最近ずっとあんな感じだな」




いつの間にゲームを止めたのか、スマホを机に置きながら口を開く。




「昼休みのたびに棗が来るからよお、最近あいつ昼休みは教室から出て行くんだけど、棗もわざわざ探しに行くから逃げ回ってるぞ」




ククッと面白そうにこの現状を楽しむ達己。



そうだった、達己はこういう暇つぶしができる面白そうなことが大好きだった。





「なあ、晴?」



達己が私を通り越して、晴を見る。



晴もいつの間に起きてたのか、目を開けて達己を見返している。





「……棗だからな」


「ま、放課後ないだけマシか」




棗ちゃんは放課後は部活のバスケ部があるから、皐月を追いかけるのは昼休みしかないみたいで。



時々午後の授業の休み時間にクラスに来ては、今日もダメだったーって伝えに来てくれる。




「でも、そろそろ限界じゃね?」


「……皐月が?」




我慢の限界ということなのだろうか。




「いや、周りが」



……周り?




何かわからず首を傾げると達己は呆れたように笑った。




「皐月の顔見りゃわかんだろ」



「顔……?」



「アイツの顔見てどう思う?」



「どうって…なんか冷たい…?」




いつも落ち着いてて、物事にあんまり興味なさそうにしてるし……。





「ぶはっ!そうじゃねえだろ!」



私の答えにゲラゲラと笑う達己にムッとなる。