帰ろう、と図書室を出ようとドアを開けようとした時。



「わっ…」



ドアを押そうとしたけれど、いきなりドアが引かれて、入ってこようとしてきた人にぶつかりそうになった。



「……」


「……」


「……あんた誰?」



ジッと無言で見下ろされ、しばらくして放たれた言葉にハッとなる。




「あ、あの…私、本読んでて……」



目の前の茶髪に右側の耳から上の髪をねじってピンでバツ印に留めた彼は、眉間に皺を寄せていて、何かしたのか不安になる。



委員の人……?

でも、それなら何でこんなに不機嫌なんだろう……。


やっぱり勝手に入ったのはいけなかったのかな……?



「……あんた、ここがどこかわかってんの?」


「え……図書室……?」



戸惑いながら答えると、そうじゃなくてさあ…とため息をつかれる。



「……1年か」



チラッと私のリボンの色を見て答えた彼。



この学校は指定のリボンのラインが1年は青、2年は緑、3年は赤となっている。

ただ、校則が緩いから指定のリボンを使わなくてもいいんだけど。



「……もうここには来るな」


「え、でも……」



学ラン……。



「わかったか」


「は、はいっ……」


ギロッと有無を言わさないというように睨まれ、思わず返事をしてしまった。