「だから、皐月に振り向いてもらうにはどうしたらいいと思う!?」
「そんなこと俺に聞かれても……」
「湊ってば、ほんと役に立たないなあ」
「……めっちゃ失礼」
「紫苑ならどうする!?」
「え……私は…まだそういうのは…わからないかな……」
お昼休み、3人でご飯を食べながら棗ちゃんの恋の、というか皐月の攻略法について話してるんだけど。
恋愛経験がないとイマイチよくわからない。
役に立てなくて申し訳ない……。
「いいよいいよ!紫苑はこれからだもんね!んー、でもほんとどうしよう」
「そういうのは一人で悩んでほしいんだけど」
「一人じゃわからないから聞いてるの!」
湊君が飲んでいた紙パックを置いて、ハア、とため息を吐く。
気づいたんだけど、湊君は棗ちゃんと話してる時は少し生意気な感じになる。
「それに今の皐月と話してもまた同じようになるだけだよ」
「……でも、行動しなきゃ変わらないじゃん」
「そうだけど、今は止めといたら」
「……」
「棗」
「…何」
「そんなに焦らなくていいと思うよ」
「……」
恋愛経験もないからまともなアドバイスもできないし、こういう時何て言葉をかけていいかわからない私は、聞くことだけしかできない。
それが少し、寂しい……。