翌日、登校すると教室の前で棗ちゃんが立っていた。
「え…棗ちゃん!?」
「あ、紫苑!おはよー!」
「おはよう!朝からどうしたの?」
昨日のこともあったのに、棗ちゃんは昨日初めて話した時と同じ明るい笑みを浮かべている。
「昨日のこと謝らないとなって思って。ほんとにごめんね。私が突っ走っちゃったせいで」
「そんな…別にいいのに…」
「本当はね、行く前から覚悟してたんだけど、やっと会えると思ったらつい浮かれちゃって……」
「覚悟してたって……」
「うん、ああいうこと前にもあったの。だから……」
わかってたんだ、もしかしたら皐月が自分を突き放すかもしれないことを。
わかってて、あんなに笑顔で会いたいって……それぐらい想いが強いだ。
「でも、こんなことで諦める私じゃないし、これからもしつこく追いかけるけどね!皐月には悪いけど」
二ヒヒって意地悪く笑う姿に、強くて、真っ直ぐなだなあって思う。
「うん、頑張れ!応援してる!」
「ありがとう!じゃあ、また昼休みにね」
「うん」
バイバイと手を振って教室に入る。
棗ちゃん、思ったより全然元気そうで良かった……。
「相変わらずだねえ、棗は」
「湊君……」
おはよう、と笑顔を向けられ、おはようと返す。
「どんなに冷たく当たられても次の日にはあんな感じなんだよ」
「強いね…棗ちゃん」
私ならしばらくは落ち込むなあ……。
「そうかな?」
私の言葉を聞いて笑った湊君にえ?と声が漏れる。
「……俺には強がってるように見えるけどな」