ゴトッ
「……ん……」
何かが落ちた物音に目を覚まし、パチパチと目を瞬く。
少しだけ顔を動かすと読んでいた本が床に落ちていた。
さっきの物音はこれだったんだ。
本を拾い、パンパンッと汚れを払うと、体に何か違和感を感じた。
何か…暖かい……?
目線を下にずらすと、掛けた覚えのない黒い上着。
「え…これって男子の学ラン……?」
かけられていた学ランの上着を除けて、首を傾ける。
誰かここに来た?委員の人?
なら、なんで起こさずにこれをかけていったんだろ。
名札がないか確認するけれど、どうやら無いみたいだ。
どうしよう……これ無くて困ってるよね。
ここに置いて帰ったら、取りに来るかな……?
「置いて帰ろう……って、シワがいっぱい!」
私、寝てる間にこんなにシワつけちゃったの?
これは、このまま返しても申し訳なさすぎるよ。
「……よし」
もう放課後だし、明日の朝一にここに返しに来れば問題ないよね。
そうと決まれば、今日は早く帰ってアイロン当てなきゃ。