紫苑 -SHION-





「まさか、そこまでするとは思わなかったよ」



「私の気持ちを舐めないでよね」




それって……。




「湊君って棗ちゃんの好きな人知ってるの?」



さっきから話を聞いてる限り、湊君を追いかけて来た訳ではないみたいだし、どうやら湊君も知ってる人みたいだから聞いてみる。





「知ってるけど……棗、もう紫苑ちゃんに話したんだ?」



「う、うん……」



「恋バナできて楽しかったよ」




ね?と聞かれて、コクン、と頷くと、ハア、とため息を吐かれた。





「……別に棗がそう言うならいいけどさ」



「へへっ。それで、すぐ会いに行きたかったんだけど、部活とかあって忙しかったし、どこのクラスかもわかんなくてさ」



「……やっぱり会うんだね」



「うん!楽しみにしてたんだから」




うきうきと嬉しそうな棗ちゃんに私も嬉しくなる。




「…で、」


「…何」



ズイッと顔を近づけられた湊君は、モグモグとパンを頬張りながら動揺もせず真顔で答える。




「皐月って放課後どこにいるか湊ならわかるでしょ?今日ちょうど部活なくて空いてるし、教えて!」




パンッと手を合わせて頼み込む棗ちゃん。