「実はこの学校入ったの、その人がいるから入ったんだ」
言葉から、顔から、本当に好きなんだなって伝わってくる。
聞いてるこっちまで幸せをもらえそうなぐらい。
「わ、そういうのいいなあ」
「ずーっと片想いだけどね。振り向いてくんないの!」
そんなことを話しながら、今度は私が座って、棗ちゃんに軽く背中を押してもらう。
「…どんな人なの?」
キラキラと瞳を輝かせる私に、棗ちゃんはんーと唸る。
「冷たいけど本当はすごく優しい人、かな……」
そして、さっきより落ち着いた柔らかい声で答えてくれた。
それだけで、どんなにその人が棗ちゃんにとって大切で、愛しい人なのかがわかる。
「いいなあ…」
誰かにとって大切に想ってくれる人がいるのは、すごく素敵で少し羨ましい。
「あっちは私のこと嫌いかもしれないんだけど……だけど!そんなんで諦める私じゃないからね!」
フン!と鼻を鳴らした棗ちゃんはすごく力強くて、思わず笑ってしまった。
「あ、紫苑、何笑ってんのよー」
「ふふ、だって、すごく頼もしいなって思って……」
「きっと紫苑も恋したらわかるよ、この気持ち」
そうなのかな?
私にとって恋は無縁で、誰かを大切に想う気持ちもあまりわからなくて。
いつかわかるかな?
それにしても。
「今日初めて会ったばかりなのに、こんなに聞いちゃってごめんね……?」
初対面の人にいきなり自分の恋愛を教えるのはあれかな……。
「いやいや、私が言い出したことだし、それに私、絶対にこの気持ちは誰にも負けないってくらい想ってるし、紫苑は嬉しそうに聞いてくれたから私嬉しかったよ!」
なんて、そんなことを言ってくれるからすごく嬉しくて
。
「あ、あの、棗ちゃん!」
「ん?」
「よ、良かったら…お弁当一緒に食べよう?」
私からも勇気を出して一歩、踏み出そう。


![[特別版]最強姫〜蘭蝶と白虎に愛されて〜](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.790/img/book/genre1.png)