「……」
「……」
晴とはあまり会話がない。
無口な晴、饒舌ではない私。
お互いコミュニケーション力が乏しいから、当たり前なんだけど。
でも。
チラッと隣を歩く晴を見る。
さりげなく歩幅を合わせて歩いてくれる優しさ、真っ直ぐに前を見る目線、風でふわふわと揺れる黒髪。
見惚れるほど綺麗な横顔が、茜色に照らされる。
一週間経つとだいぶ見慣れたその姿にどこか安心して。
晴の隣はよくわからないけど落ち着く。
最初は会話がなくて気まずかったけど、今ではもう平気。
晴からもたらされる雰囲気がそうしてるのかな。
でも、本当に驚くぐらい安心するの……。
何でか自分でも不思議だけど……。
「……綺麗だな」
ポツリ、と呟いた晴の目線が沈みそうな夕日に向けられる。
私も足を止めて見る。
「うん…」
空も周りの景色も茜色に染まって、世界が眩しく見えるのと同時に、切ない色だとも思った。
「……あの時と同じだ」
「え…?」
あの時……?
真っ直ぐ前を見ていた晴の目線が私を捉える。
「……?」
何のことかわからない私に、晴はフッと笑って、
「何でもねえ」
歩き出した。
「……?、そっか」
茜色が私達を染める。
________…暖かくて切ない色。