私が図書室を出ると、今日一番に来ていた達己が、持っていた鍵で図書室を閉めて晴に渡した。
図書室には私と湊君以外の誰かがいつも鍵を持って開けに来る。
そして、帰りは鍵を閉めて晴に渡して帰るんだけど、晴が先に帰っちゃう時はどうするんだろうって思って湊君に聞いたことがある。
『その時は開けっ放しかな』
『え、大丈夫なの……?』
『んー、まあ誰も近寄らないから』
そう言って笑った私に、そういえば浜田先生もそんなこと言ってたなあ、って思って納得した。
……不用心には変わらないけど。
「じゃーな」
「バイバイ、また明日」
「ああ」
「うん、また明日」
達己と湊君が私達に背を向けて、帰って行く。
私はというと、ここ一週間晴がずっと送ってくれている。
申し訳なくて大丈夫だからって言っても、絶対に引かなかった晴。
『危ないから送る』
『で、でも……』
『俺らの我が儘で一緒にいるから、それぐらいさせてよ。ね?晴』
『ああ』
『…じゃあ…お願いします……』
きっと私が大丈夫だよ、と言ってもついてきそうな晴の勢いと、湊君の言葉にそれは…となり頷いてしまったんだ。
「紫苑」
名前を呼ばれてハッとなる。
「あっ、ごめん」
「ん」
先に歩いて振り返った晴の隣に慌てて並ぶ。
校舎を出ると空は茜色で、もう少しで暗くなろうとしていた。


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