紫苑 -SHION-




皐月が帰ったことでさっきの話題もなくなり、ホッとして止めていた本の続きを読む。



「……好きだな、本」



……うん、読めなかったね。



でも、本の話題は嫌いじゃない。



「うん、好きだよ…晴は好き?」



「ぶっ!ちょっと待て。紫苑、お前そこだけ切り取ったら愛の告白してるみたいだぞ」


「えっ!?」



そ、そんなつもりじゃ……。


ゲラゲラと笑う達己の言葉に、無意識に顔が真っ赤になる。




「おー、タコだ。美味そうなタコ」


「……私食べても美味しくないよ」


「……紫苑ちゃん、それなんか違う」


「へ…?」




私、変なこと言ったのかな……?




「あの……わっ!」



首を傾けていると、右腕を掴まれてグイッと引かれて思わず横を見ると、晴の綺麗な二重の目と目が合った。




「あっ、ごめん…」



また達己と湊君のペースに巻き込まれてしまって、晴との話止まってた……。




「えと…晴は本好き?」


「あんまり読まない…」


「そっか…じゃあ!晴は何が好き?」




そういえば、晴のこと全然知らないなって思って聞いてみる。



晴だけじゃなくて、まだみんなのこともわからないけど……。




「フルーツオレ」


「フルーツオレ?」



確かにさっきもすごい勢いで飲んでたなあ。



「ああ」


「なんか可愛い……」



フフッと笑うと、晴も少しだけ笑ったように見えた。




「……」



「……」



「むず痒っ…!なんだこいつら!?まるで大昔のお見合いでも見てるみてえなんだけど!?」



「お見合いの場面なんか見たことないだろ…」



「にしても、これが今時の高校生かよ!?晴ってあんなキャラだったか!?これはこれで面白えけどよ、俺の想像超えるわ…」



「へえ、珍しい。まあ、相手が紫苑ちゃんだしね……」



なんて、私と晴が話している横で、2人がヒク、と顔を引きつらせながらコソコソと話していた。