紫苑 -SHION-




「したくてそうしてるんじゃ……」



落ち込む私にポンポンと頭を撫でてくれる。





「紫苑ちゃんはおっとりしてて可愛いからね。いじりたくもなっちゃうんだよ」



「……っ…湊君って本当にサラッと恥ずかしいこと言うね」



「ん?そう?」



首をコテンと傾けて笑う姿に母性本能がくすぐられる。




あざといなあ……。



きっと……ううん、絶対に湊君もモテるんだろう。




達己は意地悪だけど礼儀正しいところがあるし、湊君も優しいし、やっぱりこの2人は呼び出しされたら絶対に行くタイプだろうなあ。




……うん、普通はそうなんだけどね。





「面倒くさい、かあ……」




女の子は一生懸命想いを伝えようとしてるのに、面倒くさいで片付けられたら傷つくよ……。


私は嫌だもん……。




でも、私がこんな風に思っても意味ないんだろうけど……。





「あ、晴、皐月、やほー」



そんなことを考えている内にいつの間にか2人が来たみたいだ。




「あ、何、ジュース買ってきてくれたんだ」


「自販機寄ったからな」


「サンキュー」



湊君にはいちごオレ、達己にはサイダーが皐月の手から渡されるのをジっと見ていると、




「ほら」


「え?」


「あんたのだけど」




目の前に差し出されたリンゴのジュースに戸惑う。




私にも……?



まさか自分のがあるとは思わなかったからびっくりしたけれど、不思議と気持ちが温かくなる。



遠慮がちにそれを受け取ると、冷たい水滴が手のひらを濡らした。




「…ありがとう」