紫苑 -SHION-




恐る恐る横を見ると無表情だけど、どこか怒っているような雰囲気の晴さん。



その瞳は私の後ろにいる達己さんを捉えていて。



「はいはい、悪かったって」




そんな晴さんにクッと笑いながら、髪からパッと手を離した達己さん。




び、びっくりしたあ……。




髪を、しかもこんな至近距離で触られるのは初めてで心臓に悪い。




何にせよ、助かった……。




「あーもう、達己、面倒くさいことするなよな」



「どこが?面白えの間違いだろ?」



「……次、晴」



「スルーかよ」




ケタケタと笑う達己さんに湊君は冷めた目線を送って、晴さんを見て、私もそれを追うように視線を向ける。




薄い形のいい唇が小さく開く。



「……黒瀬晴(クロセ ハル)」




ハスキーな声で伝えられた名前が、真っ直ぐに私の目を見る瞳が、私の思考を一瞬停止させる。



……本当に綺麗な人。





「ちなみに、晴達は3人ともクラス一緒だよ」



「あ…そうなんだ」




湊君の声にハッとなり、慌てて返事をする。



思わず見とれてしまった……。



そういえばみんな改めて紹介してくれたし、私も言わないと。



「えっと、木崎紫苑(キサキ シオン)です……」




ペコリ、と頭を下げる。