「……ねえ、紫苑ちゃん、放課後用事ある?」
「放課後?ううん、ないよ」
何だろう……?何か用かな?
「あのさ、良かったら一緒に図書室行かない?」
「図書室?図書室って第二の?」
「ううん、第一の方」
キラキラと目を輝かせた私に、苦笑しながら添えられた言葉にがくっと項垂れる。
……うん、まあ…普通はそうなるよね……。
あれ?でも…
「私…茶髪の人に来るなって言われたんだけど……」
「茶髪?…あー、皐月?」
どうやらあの茶髪の人は皐月という名前らしい。
「皐月もいいって言ったから気にしなくて大丈夫だよ」
ニコッと頬杖をついて笑った湊君にえ?となる。
な、何で?
あんなに不服そうな顔してたのに……。
「あの……私、用事が…」
あったの思い出した、と言おうとしたら、
「ないよね?」
「……っ…」
「ね?」
ニコッと有無を言わさない笑顔に、
「……はい」
なす術もなく、頷いてしまった。
湊君は、少し強引かもしれない。