「ごちそうさま!」
パンッと手を合わせて幸せそうに笑う湊君の目の前には大量のパンの袋。
「……いっぱい食べるんだね」
「そお?男はこんなもんだよ?紫苑ちゃんのお弁当はちっちゃいね」
「あ、今日は時間なくて。本当は食べるの大好きなんだけど」
朝寝坊してお弁当を作る時間が減ってしまったんだ。
「すげー、自分でお弁当作ってるんだ」
ジーッとお弁当を見つめる姿に、ふふっと笑みが溢れる。
「良かったらいる?」
「まじ?あ、でも、これ晴に知られたらやばいかも……」
ぶつぶつと難しい顔をしながら何か呟く様子に首を傾ける。
「湊君?」
「……あ、ごめん。じゃあ、卵焼きもらっていい?」
「うん、どうぞ」
お弁当を少しだけ前に出すと、湊君は手づかみで卵焼きを掴み、口に入れた。
「うまい」
ニコッと笑った湊君はまるで天使のようで、思わず自分も笑顔になる。
「ありがとう」
そう言うと、湊君はぺろ、と卵焼きを掴んだ手を舐めながら、ごそごそと袋からメロンパンを取り出し、
「ん、俺のパンあげる」
「え、でも……」
「卵焼きのお礼」
「……ありがとう」
断るのもあれだし、お言葉に甘えて受け取る。
それにしても、いっぱい食べてたのにまだ余ってたんだ……。