紫苑 -SHION-




「……あの、もしかしてこの学ラン…そうですか……?」



紙袋を彼に差し出すと、彼は無言で受け取って学ランを出して、着た。



やっぱり、この学ランは……



「……俺の」



ちょっとだけ笑った彼はとても綺麗でかっこよくて。

とてもモテるんだろうなって思った。



「えと……昨日はありがとうございました。
あと、皺いっぱいつけちゃったんで勝手にアイロンあてたんですけど…嫌だったらごめんなさい……」



そう言うと彼は少しだけ学ランを見て、


「ありがと」


少しだけ微笑んだその顔ともらった言葉に、ぽかぽかと暖かくなる。




「勝手にかけて悪かった」


「え…?」



一瞬言葉の意味がわからなく、数秒して慌てて返事をする。



「い、いえ……こちらこそ勝手に入ってごめんなさい……」



ペコッと頭を下げ、じゃあ、と帰ろうとすると、



「晴?」



男の人の後ろから声がし、近づいてきた人の顔が見え、あ…となった。



「何してんだ…ってお前……」



私を見て眉を顰めた相手に、思わず縮こまる。





「何々ー?」


「誰かいんのかよ?」



その上、茶髪の人の後ろから出てきた2人にもっと体が小さくなる。



「あ、あの、その…学ラン返しに来ただけで……」


「学ラン?」


「あー、そういえば晴ってば今日学ラン着てなかったじゃん」


「あー?そうだったか?」


「そうだよ。どこに目つけてんの」


「うっせ」



繰り広げられる会話に申し訳なさが一段と大きくなる。