紫苑 -SHION-




あっという間に放課後になり、とぼとぼと重い足取りで図書室に向かう。



ドアを引いてみるけれど鍵はかかったまま。



なんで昨日開いてて、今日は開いてないの……。

しょうがない、少しだけここで待ってみよう。



ストン、とドアのそばに座って、鞄から本を出してパラ、とページをめくる。



本を読んでいると周りの雑音も、時間の流れさえも気にならなくなる。


真剣に読めば読むほど本の世界に入っていける。



ドンドン読み進めているうちに、物語が結末を迎え、終わってしまった。



「……」



本は面白い。


けれど、その物語も一時の間だけ。


物事には、いつか必ず終わりがある。


本も、私も、誰かの命も。



「……」


パタン、と本を閉じる。


キュ、と音がし、ふと顔を上げると、



「あ……」


「……」



1人の男の人と目が合った。


黒髪から覗く二重の目がとても綺麗な人。




ジッとこちらを見つめる姿にドキッとなり、慌てて本に鞄を入れて立ち上がる。



もしかして、茶髪の人との知り合い?


だったら、私邪魔だよね。



「あのっ……」


ごめんなさい、と口を開こうとした時、彼の格好に違和感を覚えた。



首元らへんを大きく開けた白のポロシャツに、学ランのズボン。


まだ上着がなかったら寒い季節なのに……と思った瞬間、あっ、となる。