「ちょっ……、

ちょっと琉衣くん、こっち来て!!」


「あァッ?」



だから私は思わず体育館の端まで彼を引っ張っていった。


とにかくみんなの視線が怖い。


少しでも話が聞こえないところに行かなくちゃ……



「あ、あのね…お弁当ちゃんと作ったんだよ。

でもなかなか渡すタイミングがなくて…」


「何でだよ。普通に持ってくりゃいいだろ」


「でもっ…、琉衣くんの周り人がいっぱいで…」


「はァ?」


「私なんかが…話しかけたらいけない気がして…。

お弁当なんて誤解されちゃいそうだし……」



私がオドオドしながら言うと、琉衣くんは不機嫌そうに眉をひそめながらも首をかしげる。


そしてはぁーっ、と一度ため息をつくと、首に巻いていたタオルを外して、それで私の頭をベシッと叩いた。



「…ひゃっ!」


「ったく、なんだよそれ。意味不明。

お前の事情なんか知らねぇよ。

俺の言うこと聞くんじゃなかったのかよ」


「…っ、」


「とにかくどうでもいいから体育終わったらさっさと持ってこいよ。

じゃねぇと帰ったらぶっ飛ばすぞ」



ぶっ…ぶっ飛ばす!?