「兄貴にデレデレしてんじゃねーよ、このバカ女。

お前自分の立場分かってんの?」



ドキッ…。



で、デレデレ!?


デレデレなんてしてたかな、私…



「す、すいません…!」



鋭い目で睨みつけられて、私はとりあえずわけもなく謝る。


まさかあの琉衣くんが話しかけてくるとは思わなくてビックリした。


もしかして今の会話聞いてたのかな…?



「お前みたいな奴のことをこう言うんだよ。

世間ではなぁ…」



琉衣くんはグングン私に向かって距離を詰めてくる。


思わず後ずさりする私…。


そして…


ピタッとと背中が壁についた途端、片手を私の顔の真横にドン、とついた。



「……居候って」



ドクン…。



息を呑むほどきれいな顔に、ただただ圧倒されてしまう。


だけど怖いのに、なぜだか目をそらせなくて…



「調子乗んなよ、マジで」



吐き捨てられた言葉は、それはそれは鋭くて冷たかった。