【完】俺の言うこと聞けよ。〜イジワルな彼と秘密の同居〜


気付いてたんだ…。


どうしよう…


別に無視したつもりじゃないのに……



「そ、そんなこと…ないよ。

あれはたまたま…」


「それだけじゃねぇし。

お前今日朝から変だぞ。急によそよそしいし。

言いたいことあんなら言えよ」



えぇっ…!?


言いたいことなんて…



「な…ないよ…そんなの…!」



だけど視線はやっぱり下を向いたまま。


言いたいことはない。


聞きたいことはあるけど…


聞けるわけがない。



そしたら急に琉衣くんの長い腕が伸びてきて…

キュッ、と水道のノズルを下げ水を止めた。



「ウソつけ。とぼけんな。

なぁ、俺なんかした?」



どきん…。



琉衣くんは少し怒ったように、でも静かに問いただす。


私はますます何も言えなくなった。


胸の奥が、ぎゅっと苦しくなって。



琉衣くんが何かしたわけじゃない。


私が勝手に落ち込んでるだけ。


だけど、そんなこと彼に言えなくて、それなのになんでもないフリもできなくて…



「な、なにもしてないよ…。

ほんとに何も…」