だけど、とある瞬間にそのモヤモヤは爆発した。
ちょうど冷蔵庫の前に沙良さんがいて。
「おい沙良」
琉衣くんがふと彼女を呼んだのだ。
しかも呼び捨てで。
…えっ?
沙良…??
私は胸に何かがグサリと刺さったような衝撃を受ける。
「…じゃねぇや。木下さん、イースト取って」
「あ…うん。
ハイどうぞ」
沙良さんは冷蔵庫からイーストの入ったタッパーを取り出して琉衣くんに渡す。
するとどこか切なげな表情で、こう言った。
「名前…」
「え?」
「…名前でいいよ?
無理しないでよ」
それはつまり、たぶん、
琉衣くんが無理に苗字で呼ぼうとしてる、という意味で。
「…っ、うるせぇな。無理なんかしてねぇよ」
「…意地っ張り」
「はぁ!?」
「ほんと変わんないね、そういうとこ」



