小高くんは笑いながら立ち上がると、ノートを持って私の前の席に座りなおす。


そして鏡とにらめっこする私の前にそのノートを広げた。



「ていうかさ、明日たぶん俺当たるんだけど…ここ教えてくんない?」



こうして時々私に数学を聞いてくることも珍しくなくて。


琉衣くんがよく私に数学を教わりに来てるのを知ってたみたい。


いつのまにか”数学の得意な西村さん”のイメージが私についていたようだ。



「えーっとね、これはここを代入して……

うん。あ、そうそう」



小高くんはたぶん、けっこう頭がいいと思う。


教えてもすぐ解けるようになるし、そこまで数学が苦手なようには見えないけど…


だけど毎回すごく感謝してくれるから、お役に立ててるならそれで…と思って、私も聞かれてそんなに悪い気はしていなかった。



「やっぱり西村の解説分かりやすいよな〜」