琉衣くんは乱暴な字で書き殴ったようなノートを私の机に広げる。


そこには数学の、うちのクラスが昨日習ったところの問題があった。



「…あれ?また当たるの?数学」


「あぁ。1限の時思いきり爆睡してたら倉田の奴、俺に寝てた罰とかいってこの問題押し付けやがった。

5限までにやってこいだと。ウッゼー」


「あらら…(笑)

琉衣くん前から二番目の席だもんね」


「マジさっさと席替えしてぇんだけど。

あんなつまんねー授業で寝るなっつーほうが無理だし」


「あはは、まぁまぁ…」


「それより時間ねぇよ。さっさとしろ」


「あ、はい」



進学校であるうちの高校。二年生になってから、数学は1日に二回ある日も少なくはない。


琉衣くんはどうやら数学の倉田先生に目をつけられているらしかった。


最近よく当てられる。


そしてその度に私のところに教えてもらいにくるもんだから、それがちょっと可愛い。



口は悪いしふてぶてしいけど、解いてる時は一生懸命。


たまにスラスラ解けると少し嬉しそうにして。


それと何より前に比べてかなり会話をしてくれるようになったのがとても嬉しい。


あまり一緒にいてお互い無言になることがなくなった。