もっと、君に恋していいですか?

客足が途切れたと思ったのはほんの数分で、また次々と客が来店し始めた。

更に2台の車が同時に入って来ると、さすがのスタッフたちも、下に降りた方がいいかも…と思い始めた。

「いくらなんでも一人で5台はキツいでしょ、お客さん待たせちゃうし。」

若いスタッフが帽子を被って下に降りようとすると、一番の先輩社員がそれを制した。

「いや、ちょっと待て。」

「え?」

「よく見てみ。卯月さん、めっちゃ笑って客と会話してんぞ。しかも、今窓拭いてるこの車以外はもう全部サービス済んで計量器待ち。給油終わるの待ってんだよ。」

「ええーっ?」

「速すぎ…。」

「卯月さん、計量器止まるタイミングがわかるみたいですね。さっき拭き上げしながら、3番の計量器もう止まるよって。背中に目でもあるのかって、思わず聞いちゃいました。」

「スゲーな…。長年の勘ってやつか?言ってる間にもう3台目さばいちゃったよ…。」