もっと、君に恋していいですか?

喫煙室で志信はイライラしながらタバコに火をつけた。

(なんにも言わないで行って、おまけにアイツと一緒に仕事してるって?!なんなんだよ?!)

仕事なのだから仕方ないとわかっているのに、どうしても苛立ちが抑えられない。

(一緒にいなくていいって言ったら、それでもう終わりか?言い訳のひとつもなしかよ!!やっぱりたいして好きじゃなかったんだな。)

“無理して一緒にいてくれなくていい”と自分で言ったくせに薫を責めるのはおかしいと、頭ではわかっているのに、嫉妬や虚しさや苛立ちや、言葉では言い表せないいろんな感情が入り交じって、冷静ではいられなかった。

(もうやめた。一人で必死になってバタバタしてるなんてバカらしい。)

志信は煙を吐き出して、水の入った灰皿に短くなったタバコを投げ入れた。

水の中でジュッと音を立てて消える火を見つめながら、志信はゆっくりと立ち上がった。

(どうせ薫は…オレの事なんてどうでもいいんだ…。)