もっと、君に恋していいですか?

志信は箸立てに左手を伸ばした。

(こういう時、薫は何も言わなくても当たり前みたいに黙って渡してくれるんだよなー…。)

些細な事でも薫を思い出して、感傷的な気分になってしまう。

「笠松さん、どうかしました?」

「いや…。」

箸を取って、モソモソと美味しくなさそうに食べ始める志信を見て、梨花は首をかしげた。

「元気ないですねぇ。夏バテですかぁ?」

口をモソモソと動かしている志信の代わりに、石田が呆れたように答える。

「バテてると言うよりはヘコんでるんだよ。自分の不甲斐なさに。」

「不甲斐なさ…ですか?」

梨花は心底意味がわからないと言いたげな顔をした。

「私はてっきり、一緒にいられなくて寂しいのかと思いました。」

「え?」

梨花の思わぬ言葉に、志信は顔を上げた。