もっと、君に恋していいですか?

オフィスへのドアへ向かう薫の背中を、スタッフたちは不思議そうに見ている。

「卯月さん、疲れないんですかね…?」

「どうだろ。」

「仕事中の卯月さんしか知らないけどさ、最近なんか、表情がちょっと柔らかくなった気がしないか?」

「そうですか?前からお客さんには優しかったですけど…。」

「彼氏とか、いんのかな?」

「そりゃあ…卯月さんも年頃だし、彼氏の一人くらいいてもおかしくはないけど…。」

「仕事の事以外は無口で無愛想な卯月さんだからな…。全然想像つかない。」

「いたとして…彼氏、どんな男だろ?」

「めっちゃ強そうなマッチョとか…ヤバイ職業の人とか…?」

「いや、案外すげー年下のワンコ系かもよ?」

「やっぱり全然想像つかないよ。いるなら見てみたいなぁ…。」