飛び交うみんなの視線が気になる。

きっと周りの人はいつもと同じように

登校しているだけなんだけれど、

私はその何気ない視線が妙に気になってしまう。

その視線から逃げるように足早に校舎へと入った。

私が1日を過ごす教室。

「おは……」

どうにかいつもの様に

軽く挨拶をして入ろうとしたけれど、

上手く声が出てこない。

喉の奥がぎゅっと締め付けられて

挨拶も中途半端になってしまった。

声もちゃんと出せないなんて、

自分で自分が嫌になってくる。

私は目で自分の席を確認する。

その瞬間、私の口から小さな溜め息がもれた。