最後の最後で蒼空は1位でゴールテープを走り抜けた。
嬉しさと、ほっとした気持ちが溢れる。
「優那」
珍しく大きな声を出し疲れたのか、力が抜ける。
そんなとき、どこからか蒼空が呼ぶ声が聞こえた。
振り返るとすぐ目の前に蒼空が立っていて、高いところから私を見下ろす。
「蒼空、おめでとう」
上を見上げ、蒼空の顔を見ると、心からそう言った。
「優那の応援のおかげ」
「大きな声を出した甲斐があった」
「………俺、好きだよ」
「何が?」
主語が無くては、何が好きなのか分からない。
だから、そう聞き返す。
「優那のこと、好き」
「え……?」
そう言った瞬間、周りに居た女子が悲鳴を上げる。
帰ってきた言葉の意味は、透のときと同じだ。
「優那のこと好きだよ?………ずっと」
「そ、蒼空……ど、どうして今言うの……」
周りに人は沢山居るし、これじゃあ晒し者だ。
きっと、顔が赤くなってるに違いない。
「伝えたくなったから?」
あぁ、私はどうしたらいいのだろう。
透にも返事はしていない。
蒼空にも返事はできない。
なぜなら、花園先輩が居るから。
もうひとつ………私自身、自分の気持ちがあやふやだから。
なのに_______________
どうしてこんなに心が温まるのだろう。