おぉ、なかなか冷蔵庫事情を分かってらっしゃる

普段よく使う卵や牛乳は常備してあるけれど、メインになるようなお肉や魚はない。

だけどオムライスくらいなら、買い物せずとも出来そうだ。


「ちょっと待っててねぇ」と声を掛けて、冷蔵庫から玉ねぎと卵、ベーコンを手に取った。

玉ねぎは微塵切りにして、ベーコンは一㎝角に切って炒めていく。

そこへ、ご飯を投入して更に炒めて味付けは塩コショウとケチャップ。

ケチャップライスは、お皿に盛り続いて卵を焼き始める。

卵には、牛乳とマヨネーズを入れるのが平野流。

フライパンの上で、くしゅくしゅっと手早く掻き混ぜてケチャップライスに乗せた。


最後に遊び心たっぷり、卵の上にケチャップでハートを描いて

テーブルで待つ、悠の前へ――。

それを見た悠は「……ばか」と小さく毒づきつつ、スプーンで掬って頬張った。



「こら、“いただきます”は?」

「……いだらひまふ」



一瞬、面倒くさそうに眉を顰めて、口に頬張ったままそう言った。

少しお行儀は悪いけれど、まいっか。

私も手を合わせていただきますと言い、オムライスを食べ始める。