〝希依side〟



「あ、来たよ!謎のフード女!」


「なんでいっつもフードかぶんてんのかなぁ?ちょっと生意気だよねぇ!!」


「ぎゃはは!言えてるぅ〜!実は救いようのないブスだったりしてねぇ〜!」



いつも通りに並べられた言葉。


謎、生意気、ブス。


学校に来る度に何度も耳にしたその言葉達はもはや言葉と言うよりもただの雑音だった。



"謎のフード女"ねぇ。

それは常にフードをかぶり続ける私の名称。

一体誰が付けたんだか。

絶望的にネーミングセンスないね。



きっと毎日飽きずにそう呼び続ける人たちは唯一謎ではない私の名前すらも覚えていないのだろう。

水沢希依、という名前を。