「まず、俺が神楽の若になったのは竜がいなくなってからなんだ。
もとは、竜が神楽の若だった。」




えっ…?


最初から琉斗が若じゃなかったんだ


でも、なんで弟の竜が?




「昔の俺は、極道の世界に興味はなかった。
親父も、俺を無理に極道世界に引きずり込もうとはしなかったしな。」




「じゃあ、なんで?仕方なく若になったの?」




「いや、そういうわけじゃないんだ。若になったのは俺の意志だよ。
ここからが俺の過去だ。
聞いてくれるか?」




少し俯きがちな琉斗と目を合わせ、頷いてみせた


これから聞くことは、想像を絶するものなんだろう

そう確信した




そんな話に、私はそっと耳を傾けた