「め、芽衣、俺の話を聞いてくれ」

「なに?話してみてよ、話せるものなら!」


唯翔を睨みながら、あたしは半ば叫ぶように言った。


「だから、これには訳があるんだって」


唯翔の焦点の合わない瞳を見つめ、あたしは涙を流した。

座り込んだ奈々加は、ただあたしたちを見上げている。


そこにまどかが現れた。


「芽衣先輩が叫んでるから、なにかと思って来たら…。どういうこと?奈々加」

怪訝な表情で奈々加を見つめるまどかは、さすがと言えるほどの演技。


「へ…、まどか…ちゃん?」


ぱちぱち、と瞬きを繰り返して、まどかを見つめる奈々加。

あたしたちがグルだって、初めて知ったみたいな顔をしてる。

気づいてたんじゃないの、ほんとは?


あたしは本当にイライラし始めていたから、計画をほったらかしにして、まどかの腕を引いた。

「まどか、もう帰ろ!」

「あ、は、はい!」

まどかが小走りで来て、あたしの耳元に口を寄せて


「もっと言わなくていいんですか?それに、二人を残しちゃって…」


「いいよ、ビンタしたらある程度スッキリしちゃったし」


少し赤くなった手を振って見せると、まどかは納得いかなそうな顔で、そうですか、と呟いた。