あたしは奈々加を柵よりこちら側に引き戻し、手を離した。

すると、奈々加はコンクリートに座り込んで、咳き込み始めた。


あたしはそんなのお構いナシで、ポケットからスマホを取り出した。

もちろん、あの男子6人に連絡を入れるため。


『入って来ていいよ』


あらかじめ打ち込んであった文を送信するとすぐに屋上のドアが開いた。


「お~なんだ?意外とかわいーじゃぁん」

「しかも抵抗しなさそうだしなぁ」

「しても大人しくさせんだろ、おめぇなら」


6人の男子の登場により、屋上は一気に騒がしくなり、奈々加の顔はさらに青ざめた。


あたしはその中の一人に、じゃ、あとよろしく、と耳元で言って立ち去ろうとした。


が、あることを思い出して、奈々加の腕を掴もうとする男の元に駆け寄った。


ポケットから、いつだかサッカー部の部室から拝借した避妊具を取り出した。


「ほどほどにね。さぁ精々楽しんでね、奈々加チャン?」


ポイっと、屋上のコンクリートに避妊具を投げて、あたしは今度こそ屋上を後にした。


あー、ちょっとスッキリした。

このあとアイツらが何するかなんてシラナイ。


あたしは、遊びに誘えって言っただけだもん。


一仕事終えたあたしは、そのまま帰宅した。


さぁて、明日はどうなってるかな。