優しいね、やっぱり唯翔は。

こんな態度だもん、浮気に気づくわけがない。


でもさぁ、気づいちゃったんだよ唯翔。

唯翔はあたしが好きですか?


「唯翔のバカ」


あたしはベッドを降りながら、小さな声で言った。


「あ?誰がバカだって?」


つもりだったのに、聞こえちゃったらしい。

「なんでもないしー。唯翔おんぶして~?」


「は~?甘えんな。つーか、先生がストレスと疲労だって言ってたけど、なんかあったか?」


いや、ありまくりだっての。

ストレスか、あたしは復讐しようと無理矢理気持ちを切り替えたけど、体はダメージ受けてたんだろうか。


「唯翔がいけないんじゃない?」

何が、とは言わないけど。

まだ気づいていない振りをしないと。


「…マジで?」


わりと深刻な顔をする唯翔が可笑しくて、あたしは少し笑った。


「そうそう。だからおんぶして帰って?」