「お前だとするなら、芽衣を傷つけるような真似はやめてくれないか」


「アタシ、言ったじゃないですか。『拒否したらメイ先輩はどうなるか』って」


ニヤリ、と不敵な笑みを浮かべる相沢に苛立ちを覚える。

女だからと嘗めてたか。


「お前と付き合うメリットがないだろ?」

「メイ先輩の命が助かるんじゃないですかぁー?」


くそっ…こんな性格してたのかコイツ…

真逆じゃねぇか普段と。


俺は小さく舌打ちをして頭のなかに天秤を思い浮かべた。


芽衣の命か、黙って浮気をするか…

歯軋りをする思いだった。


「浮気…すればいいんだな。芽衣とは別れなくていいんだよな?」


「ふふっ、やっとアタシの話をわかってくれましたか。嬉しいですっ♪」


俺が決死の覚悟でそれを口にした瞬間、相沢が俺の腕に絡み付いてきた。


「これからは"奈々加"って、呼んでくださいね?」


「…学校ではあまり人前で話しかけないでくれよ」


「そうですね、怪しまれても面倒ですし!」