ふぅ、と溜め息をついて、芽衣を離す。


もしかして、今のは相沢だったりするのか?

そんな、命まで狙うようなことをするか?


でも昼間の狂気をはらんだあの目を見てしまったらなんとも言えない。


「早く行くぞ」

「そだねー、暗くなってきたし」


芽衣はなにも気にしてないみたいだな、よかった。

よく考えれば、相沢が芽衣になにをしようが俺が守ればいいんじゃねぇか。


浮気の誘いになんて乗らなくてよかった。

俺は少し笑って、右手で芽衣の左手を握った。


「なんか今日唯翔キモい!!」


「は!?うるせぇ」


いつも手繋がないからってキモいはないだろ、ひでぇ女だな。


俺はさらにぐっと手を握って、それから家までの道のりを早足で歩いた。