「―…い、おい、起きろ」


「…ぅわ!」


ガバッ

机に伏せていた顔を上げると、夕日色に染まった教室で彼が大あくびをしていた。


「え、あたし何時間寝てたの?」

「さぁ、3時間は寝てたんじゃね」


あたしの彼氏、杉浦 唯翔(スギウラユイト)は、自分の腕時計を見てそう言った。

唯翔とは、付き合ってもうすぐ1年になる。


唯翔は、サッカー部に入っていて、イケメン。

つまりモテる。

まぁ勉強はそこそこだけど。

なんでそんな人とあたしが付き合えてるか謎だけど、告白してきたのは向こうから。


「早くラーメン行こーぜ~~。腹減った~~」


ストン、と座っていた机から降りると唯翔は教室の出口に向かっていく。


「あ、ちょっと待ってよ、待っててあげたのに先に行くとかひどい!」


「待つって言ったって寝てただけだろ」


「そそそ、そうだけど」


なんだかんだ言いながら、唯翔は戸の近くで待っていてくれた。

そんな姿に、あたしはちょっとだけニヤけた。