もう一度君を  この腕に

「進藤、仕上がりはどうだ?」

俺の肩越しに専務がパソコンをのぞいた。

「完璧です。」

「あとは社長が納得すればオーケーだな。」

「そうですね。」

「どうした?何か不服なのか?」

「いえ。」

俺は夕美が控え室へ下がるのを目で追った。

「彼女はあちこち潜りに行ってるらしいな。社長がクルーズに招待したいと言ってる。おまえも来い。」

「クルーズ?」

「少し遠出になる。」

「いつですか?」

「これから予定を組むよ。」

「そうですか。」

「じゃ、あとでメールする。」

俺は専務の背を見送った。

クルーズだ?

参ったな。

夕美とのデートが伸びるじゃないか。

俺のプライベートはなぜこうもスムーズにいかないんだろう。

過去の行いが悪いせいか。

俺への天罰はまだ終わらないのか。

夕美は変わらない強い面と上手に隠した弱い面があった。

あの日社長室で俺に会っても平然としていた。

熱くなるのはいつだって俺だ。

今までもそうだった。