さっきの一回で、終わり。 特別だったんだぜ?俺が言うあの言葉は。 「気になるんだけど」 「気になっとけ」 「教えてよ」 「一回しか言わねぇ主義なんだよ」 「嘘だぁ~」 「じゃあ、有料?」 「……お金取るの最低」 こんな他愛ない話ができている“今”は、幸せなのかもしれねぇな。 「ほら、行くぞ」 「ちょ、ちょっと待ってよ~」 フッと笑った俺の隣にようやく追いついた雫は、横目で俺を見て少しだけ口元を緩めた。