どういたしまして。 そう言い終える前に、いきなり始まった自己紹介。 「紅 雫」 「……え?」 「察しの通り、もう滅びた紅組の娘」 雫が呟くように言った“真実”は、名前を言う、たったそれだけの行為でほとんどわかってしまえるようなものだった。 名前を聞いてすぐ、雫が苗字を隠していた理由がわかった。 紅。――その名前は、言葉は、きっと表の人間も裏の人間も知っている。 それくらい有名な名前なんだ。 予想の斜め上を行く、雫がずっと隠してきた“本性”。 雫の心に溜まっている涙が、切なく感じた。