中学三年の時、俺はまだ小学五年の雫【シズク】ちゃんと出会った。



少し傷ついた体。

暗い表情。


ワケありだった雫ちゃんに、俺は躊躇いもなく手を差し伸べた。





心配だった。


そんな気持ちだけじゃない。




初めて雫ちゃんを見たとき、その時の雫ちゃんは今にも壊れてしまいそうで、儚く消えてしまいそうで、怖かったんだ。






何を恐れているのか、何に怯えているのか、全くわからない。


だけど、今雫ちゃんは独りだということは、瞬時に理解できた。





だからこそ、俺は“光”を指し示したんだ。








もう、大丈夫。


俺が、守ってあげるから。





まるで雫ちゃんの兄のように、そんなことを思っていた。