「あぁ、わかってる」 言葉の重みというものを、初めて実感した。 頷くだけで、心の中にズシン、と鉛のような重いものが落ちてきた。 嫌ってくらい、わかってるよ。 ……わかってるけど。 わかっているだけでは、どうにもできない。 ちゃんと、踏み込む準備をしないと。 雫が壊れてからでは遅いんだ。 雫が心を閉ざしてからでは、手遅れなんだ。 「わかってるならいいけど」 真汰は愛想なくそう言って、俺からテレビへと視線を移した。 プレッシャーに似たような感情が、押し寄せた気がして、足が震えた。