獣★愛SS~最強ケダモノ男子の特別視線~








「兄貴」




夕食を食べ終えて、真汰が俺に声をかけてきた。


雫は洗い物をしていて、俺たちのいるリビングから離れ、キッチンにいる。




水の音が邪魔をして、真汰の声を耳に届けにくくする。





「どうした?真汰」




真汰の顔つきがいつになく真剣なものだったので、俺は首をかしげた。








「早く雫を救ってあげねぇと、このままじゃ雫が壊れるぞ」



「っ、」





「いつか、心を閉ざすぞ。どうすんだ。
 俺はもう――覚悟は出来たぞ」








時間が経てば経つほど、関係は変わっていく。


いつの間にか、真汰には覚悟が出来ていた。




俺にはできていない、覚悟が。