獣★愛SS~最強ケダモノ男子の特別視線~






「雫……?」



「っ、な、何?」





気のせい、ではなかった。


雫に声をかけたら、雫はハッとして、すぐ悲しみを隠すように下手くそな笑顔を顔に貼り付けた。






「大丈夫か?」






俺にはまだ、勇気はなかったんだ。


心配してるくせして、一歩踏み出せない臆病者だ。




だから、返ってくる応えはわかっているのに、そう聞くんだ。






大丈夫じゃないに決まってる。


だけど……





「大丈夫だよ」






雫は絶対、そう応えるんだ。


今度は作り笑顔だとわからせないような、上手な笑顔を貼り付けて。