「俺が幹部になったら、神亀をぶっ倒してやる!」
ニヤリと口角を上げて、真汰は自信たっぷりにそう言う。
双雷と神亀の争いは、去年から続いているが、決着は一向につかない。
どちらも実力は相当なもので、簡単にはトップになれないのだ。
王雷の幹部の俺としては、双雷がトップになって欲しいんだけど。
双雷と同盟を結んでいる王雷は、そんな願いをするだけ。
直接トップ争いに関わるわけじゃない。
「俺ら王雷の分も頑張ってくれよな」
「任せとけ!」
真汰の実力はいつの間にか、俺に近づいていた。
追い越されないように、俺も鍛えないとな。
弟には、負けたくないし。
そんな他愛のない話をしている途中、俺はふと雫を見た。
雫は、切なそうに悲しそうにどこかを見つめていた。



