望空【ノア】。
一度会ったことがあるが、絶世の美女だった。
黒髪が似合う彼女は、双雷の中で一番強い。
戦う姿はまるで花のようで、しかしその美しさの中に雷のような激しさを抱いている。
彼女のことは、裏の世界では有名で。
双雷がトップになる日も近いかもしれない、という噂が流れているほど。
「おめでとう、真汰」
雫が自分のことのように喜びながら、そう言った。
「ま、俺の実力だけどな」
「自画自賛するんだったら、謙虚になってくれたほうがいいよ」
「あ?」
「真汰、雫を睨まない」
「……睨んでねぇし」
真汰と雫はいつの間にか、本当の兄妹のような関係になっていた。
どんなに喧嘩をしても、悪口を言っても睨んでも、すぐに仲直りしてしまうそんな関係に。



